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CPUとは

CPUとは何かについて解説していきます。Central Processing Unit(中央演算処理装置)の略でプロセッサと呼ばれることもあります。少し難しく言うとCPUの役割は命令/データの読み込み・解読・演算・出力です。オフィス使用、Youtubeの動画視聴、ゲームプレイなどパソコンで行うことは命令やデータの読み込みから始まっています。パソコンは何でも数値(2進数)で表すということを覚えておいてください。命令・データ・出力結果は数値です。文字も内部的には数値として扱われます。

関連記事:CPU性能比較表【2025年版】

パソコンの頭脳として大活躍

CPUは、パソコンの頭脳として大活躍です。あなたがキーボードで文字を入力すると画面にその文字が映し出されます。これもCPUがメモリから受け取った命令を元に解読・演算・出力を行っているからです。オフィスソフトを使う時もゲームをする時もCPUが様々な命令を処理しているのです。ヒトの脳と異なるのは、コンピューター(CPU)自身が自発的に行動することはできない点にあります。CPUがCPUとしての役割を果たせるのはあなた自身がキーボードに文字を入力したり、アプリケーションを開いたりすることで間接的に命令を出しているためです。CPUと似たパーツに”GPU”があります。GPUは、Graphics Processing Uniteのことで画像処理・映像処理に特化したプロセッサーです。CPUはより汎用的なプロセッサーと言えますね。

CPUの進化は目覚ましいものがあります。例えば、2024年10月に発売されたCore Ultra 7 265Kと2012年4月に発売されたCore i7-3770Kを比較していましょう。12年で大きくスペックが引き上げられています。CPUの技術進化の上でプロセスが果たす役割は大きいです。22nmから3nmへと微細化が進みました。プロセスが微細化されるとクロック周波数向上・省電力化・製造コストの低下・機能追加などが行いやすくなります。CPU性能を引き上げる上でプロセスの微細化は必須と言えるでしょう。Core Ultra 7 265Kでは複数のダイ(タイル)を組み合わせたチップレット構造を採用していてコスト面でも優位性があります。

CPUコアが4コアから20コアへと増えているのもプロセスの微細化による恩恵です。スレッド数も8から20へと大幅に増えました。Core Ultra 7 265Kではハイパースレッディングに非対応となりましたが、IPCの改善などもあってハイパースレッディングがなくても高いパフォーマンスを発揮します。従来のコア相当であるPコア(Performance Core)に加えてバックグラウンドでの作業などを担当するEコア(Efficient Core)も追加されています。クロック周波数を見ても定格クロックこそ引き下げられているものの最大クロックは5.50GHzへと40%以上も高いです。

L2キャッシュ・L3キャッシュも大容量が当たり前になっています。対応メモリもより高速なDDR5-6400をサポートしています。Core i7-3770KではDDR3-1600です。内蔵GPUについても大幅にグラフィックス処理性能が向上しています。ただし、ゲームをプレイするには外付けのグラフィックボードが必要であることは変わりません。MSRP(定価)が$81高くなっていますが、世界的なインフレ・材料費の高騰など情勢を考えれば納得できると思います。

CPUの内部構造

CPUの内部は制御装置と演算装置の2つに分かれています。

制御装置

  • プログラムカウンタ
  • ある命令実行後次に実行すべき命令が格納されたアドレスを記憶しておくためのものです。逐次制御計数器とも呼ばれます。

  • 命令レジスタ
  • 取り出した命令を実行するために一時的に記憶しておくレジスタです。

  • インデックスレジスタ
  • ベースレジスタのアドレスと命令が指定するアドレスの間の相対的なアドレス差を格納します。

  • 基底アドレスレジスタ
  • 基底アドレスはメモリアドレスを計算する際に基準となるアドレスでそのためのレジスタとなります。

  • デコーダ
  • 命令レジスタに取り出された命令を解読して、実行できるように制御信号を出力します。

演算装置

  • 算術論理演算装置(ALU)
  • データに対して四則演算や論理演算を行う装置です。加算器や補数器などの演算回路を活用します。CPUの根幹部分です。

  • 各種レジスタ
  • 演算に必要なデータを一時的に保存しておく小型の高速メモリ記憶領域です。レジスタはRAMなど他のメモリよりも高速で高効率です。

  • アキュムレーター
  • 演算の対象となる数や演算結果を保持するためのレジスタで累積器とも呼ばれます。

CPUの役割

CPUの主な役割は命令の読み込み・解読・演算・出力の4つです。読み込みと解読を担当するのが制御装置で、演算と出力が演算装置の役割です。これらの処理を瞬時に行っています。CPUがどのようなことをしているのかをイメージすることは難しいですね。

命令の読み込み(フェッチ)

まずはメモリから命令を読み込みます。その際にメモリコントローラー(LSI:高密度集積回路)がCPUとメモリの橋渡し役となります。メモリコントローラーがメモリの制御を行います。具体的にはRAMのデータの読み書きやDRAMのリフレッシュです。最近のCPUはこのメモリコントローラーと一体化して効率的になっています。元々はマザーボード搭載のチップセットに組み込まれていました。チップセットを介するとCPUとメモリのやり取りにおいてレイテンシー(遅延)発生します。処理速度が遅くなってしまうということです。効率化のために統合メモリコントローラーが採用されるようになったという経緯があります。

命令の解読(デコード)

次に命令の解読(デコード)を行います。デコードによって命令がどのような演算を行うのかという制御情報に置き換えられます。制御情報とは、演算ユニットの動作などの制御するための情報です。命令やデータは0と1で表されます。

命令の実行(演算)

ようやく命令の実行(演算)を行う段階となります。制御情報を元にデータの演算を実行します。データはメモリコントローラー経由でCPUに送られます。データはレスターと呼ばれるところに格納されます。複数のレジスターがあり、どのレジスターを使うかは命令で指定されます。コンピューターが行う演算には四則演算以外にも論理演算などがあります。論理演算とは「AND演算」・「OR演算」・「XOR演算」・「NOT演算」のことです。様々な演算を通してCPUがコンピューターとしての役割を実現しています。

結果の格納(出力)

演算結果がレジスターに書き込まれ、メモリに出力されます。命令やデータと同様に出力結果も0と1で出力されます。これらの一連の流れがCPUの役割となります。

CPUのスペックを解説

Core Ultra 7 265K($394) Ryzen 7 9800X3D($479)
コードネーム Arrow Lake Zen 5(Granite Ridge)
プロセス 3nm 4nm
ダイサイズ 243 m㎡ 70 m㎡+122 m㎡
トランジスタ数 178億 117.15億
CPUコア数 20(8P+12E) 8
スレッド数 20 16
定格クロック(P) 3.9GHz 4.7GHz
最大クロック(P) 5.5GHz 5.2GHz
定格クロック(E) 3.3GHz -
最大クロック(E) 4.6GHz --
L2キャッシュ 36MB 8MB
L3キャッシュ 30MB 96MB
対応メモリ DDR5-6400 DDR5-5600
内蔵GPU Intel Graphics Radeon Graphics
PCI-Express Gen 5, 20 Lanes Gen 5, 24 Lanes
対応ソケット LGA1851 AM5
PBP(MTP) 125W(250W) 120W(162W)

現行モデルで代表的なCPUであるIntel Core Ultra 7 265KとAMD Ryzen 7 9800X3Dのスペックをまとめました。一覧だとどこを見ればいいのかわかりにくいかもしれません。CPUのスペックについて一つずつ見ていきましょう。世代・コア/スレッド・クロック周波数・キャッシュは特に重要なポイントとなります。

世代(アーキテクチャ)

世代はそのCPUの新しさを表します。基本的に世代が新しい方が高性能です。世代と合わせてプロセスも確認しておくと良いですね。プロセスは小さい方がパフォーマンス・省電力性・コストなどの観点から有利です。Intel Core Ultraシリーズ2は3nmプロセスを採用しています。チップレット構造を採用していて歩留まりの改善などでメリットがあります。コンピュートタイル・SoCタイル・グラフィックスタイル・I/Oタイルと4つに分けられています。プロセスは6nm・5nm・6nmとなります。コンピュートタイル以外のプレセスが3nmではないのは微細化による恩恵が小さいためです。競合のRyzen 9000シリーズでもCPUダイとI/Oダイを組み合わせたチップレット技術を採用しています。それぞれ4nm・6nmプロセスを採用しています。チップレット技術を含めてプロセスはIntel Core Ultraシリーズ2の方が進んでいると言えます。

コア・スレッド

コアとはCPU内部にある演算装置のことです。最近は複数のコアを搭載したCPUが一般的です。8コアというのも珍しくなくなりました。8コアと4コアのCPUを比べると8コアのCPUの方が処理速度が2倍速いです。作業を4人で行うよりも8人で行う方が早く完了しますね。スレッドとは同時に処理できる命令数です。通常1コア1命令ですが、負荷の軽い命令であれば1コア2命令まで実行可能です。人が両手で作業を行うイメージです。これをハイパースレッディング(AMD:SMT)と呼びます。動画編集やエンコードなどはマルチコアを活かしやすいです。

クロック周波数

クロック周波数もCPUのスペックにおいて重要なポイントです。クロック周波数とは、振動の周波数を指しています。1秒間の振動回数(動作)で単位はHz(ヘルツ)です。パソコンは「0」と「1」の数字で処理を行います。つまり、電気OFF=0(電荷なし)で、電気ON=1(電荷あり)です。クロック周波数はこの処理回数を表していると考えてよいでしょう。Core Ultra 7 265Kで言えば1秒間に最大55億回も処理しているということです。

一部のモデルでは最大クロック周波数を超えたクロック周波数を実現できます。これはオーバークロック(OC)と呼ばれる機能です。BIOSやソフトウェアから設定できます。負荷が高くなり発熱量も上がるため高品質なCPUクーラー及び高容量の電源ユニットが必須です。オーバークロックをするとメーカーの保証対象外となる点は押さえておいてください。何かあっても自己責任となります。慣れていない方は避けた方が良いと思います。

キャッシュ

キャッシュはCPUがメモリとやり取りを行う上で重要な役割を果たします。一度利用したデータをCPU内部(キャッシュ)に保存して作業の効率化を行っています。CPUコアに近い順にL1キャッシュ、L2キャッシュ、L3キャッシュとあります。L1キャッシュは最も高速ですが、トランジスタが限定されていて容量は控え目です。L2キャッシュ→L3キャッシュと進むに連れて速度は遅くなりますが、容量は大きくなります。キャッシュ容量が多い方がより高いパフォーマンスを期待できます。

対応メモリ

CPUが対応しているメモリを使用する必要があります。世代によって対応規格や速度が変わります。Core Ultra 7 265KではDDR5-6400のメモリをサポートしています。Ryzen 7 9800X3Dも同様ですね。世代が変わるとメモリの規格も変わると考えてよいです。

対応ソケット

ソケットとはCPUを取り付けるための規格のことです。CPUに合ったソケットを持つマザーボードを選択する必要があります。最新のIntel Core Ultra シリーズ2はLGA1851です。Intel製CPUの場合おおよそ2世代でソケットが変わります。アップグレードをする際は注意が必要です。AMDは1世代前のRyzen 7000シリーズになってAM5へと変わりました。Ryzen 9000シリーズもAM5のままです。それ以前のモデルはAM4ソケットで統一されています。Intel製CPUと比べてソケットの種類が少なくわかりやすいです。

関連記事:Intel製CPUのソケットと対応チップセット一覧表【世代ごとに解説】

消費電力(TDP)

同じ世代なら性能が高い方が消費電力は高い傾向にあります。最近はベースとなるPBP(TDP)に加えて最大ターボパワーとしてMTP(PL2)も規定されています。通常の運用であればPBPだけを見ておけば良いです。電力制限を解除した場合はMTPが参考となります。MTPを前提とした運用をするなら簡易水冷クーラーと高容量の電源ユニットを推奨します。

CPUに関するよくある質問

CPUの使用率が100%になったのですがどうしたらいいでしょうか。

パソコンを使っていて使用率が100%になった場合は、現在の状況を確認してください。まず、動画のエンコードやベンチマークソフトなどCPUに極端な負荷が掛かる作業を行っているならCPUをフル活用していると言えますので問題はありません。一方で、特に何もしていないにも関わらず100%あるいはそれに近い数値になり重さを感じてしまうなら対策が必要です。

まずは、不要なアプリケーションやセキュリティソフトをアンインストールして様子をみましょう。クリーンブートを行うのもよいと思います。次にCPU及びCPUクーラーがしっかりと取り付けられているか確認しましょう。取り付けに問題がなければ、CPUの故障/性能不足やメモリ不足などが原因として考えられます。より高性能なCPUへの交換やメモリの増設を検討してもよいかもしれません。

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