AMD製CPUのソケットと対応チップセットを確認できるツールと一覧表を用意しました。Ryzen 1000シリーズから最新世代まで対応しています。中古のB450マザーボードにRyzen 5 5600は載るのか、Ryzen 7000からRyzen 9000に載せ替えるときマザーボードはそのままでいいのかといった疑問を、この記事一つで解決できます。Intel製CPUをお使いの方は、姉妹記事のIntel製CPUのソケットと対応チップセット一覧表【世代ごとに解説】をご覧ください。
AMD製CPUのソケット・対応チップセットチェックツール
型番か世代を選ぶだけで、ソケット形状・対応チップセット・メモリ規格・BIOS更新の要否を判定します。
対象はデスクトップ向けRyzenです。ノートPC向け(Ryzen 6000シリーズなど)やThreadripperは対象外です。
AMDのソケットの考え方
AMDのデスクトップ向けCPUは、2017年からのAM4と、2022年からのAM5という2つのソケットに大きく分かれます。Intelが2世代ごとにソケットを切り替えてきたのに対し、AMDはAM4を5年以上・5世代にわたって使い続けました。AM5についても、AMDは2029年までサポートを継続すると表明しています。
そのためソケットが同じなら、マザーボードを替えずにCPUだけ載せ替えられる可能性が高いのがAMDの強みです。2種類しかないのでわかりやすいといえますが、ソケットが同じでもチップセットとBIOSの対応によって載せられるCPUの範囲が変わるため、換装前には必ず本記事の一覧表で確認してください。
ソケット形状の違い
AM4はPGA(Pin Grid Array)方式で、CPU側に1331本のピンが生えており、マザーボード側は穴になっています。AM5はLGA(Land Grid Array)方式に変わり、マザーボード側に1718本のピンがあります。物理的な形状が異なるため、AM4のCPUをAM5のマザーボードに載せることはできません。その逆もしかりです。
互換性の基本ルール
- ソケットが同じでも、チップセットとBIOSが対応していなければ動作しません。
- AM4はDDR4専用、AM5はDDR5専用です。ソケットをまたぐ載せ替えではメモリも買い替えになります。
- マザーボードより後に発売されたCPUを載せる場合は、原則としてBIOS更新が必要です。
- CPUクーラーの取り付け穴はAM4とAM5で共通のため、多くのクーラーはそのまま流用できます。
AM4対応CPU一覧【世代別】
AM4に対応するCPUを世代別にまとめました。「○」はそのまま使えるチップセット、「△」はBIOS更新をすれば使えるチップセットです。
| 世代/開発コード | CPU例 | ソケット | ○ そのまま対応 | △ BIOS更新で対応 | メモリ | 発売 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Ryzen 1000 (Zen/Summit Ridge) |
Ryzen 7 1700 Ryzen 5 1600 |
AM4 | X370 / B350 / A320 X470 / B450 |
— | DDR4-2666 | 2017年 |
| Ryzen 2000G APU (Zen/Raven Ridge) |
Ryzen 5 2400G Ryzen 3 2200G |
AM4 | X470 / B450 | X370 / B350 / A320 | DDR4-2933 | 2018年 |
| Ryzen 2000 (Zen+/Pinnacle Ridge) |
Ryzen 7 2700X Ryzen 5 2600 |
AM4 | X470 / B450 / X570 | X370 / B350 / A320 | DDR4-2933 | 2018年 |
| Ryzen 3000G APU (Zen+/Picasso) |
Ryzen 5 3400G Ryzen 3 3200G |
AM4 | X570 | 300番台 / 400番台 | DDR4-2933 | 2019年 |
| Ryzen 3000 (Zen 2/Matisse) |
Ryzen 7 3700X Ryzen 5 3600 |
AM4 | X570 / B550 / A520 | 300番台 / 400番台 | DDR4-3200 | 2019年 |
| Ryzen 4000 (Zen 2/Renoir) |
Ryzen 7 4750G Ryzen 5 4650G / 4500 |
AM4 | X570 / B550 / A520 | 400番台 ※1 | DDR4-3200 | 2020年〜 |
| Ryzen 5000 (Zen 3/Vermeer・Cezanne) |
Ryzen 7 5800X3D / 5700X Ryzen 5 5600 / 5600G |
AM4 | X570 / B550 / A520 ※2 | 300番台 ※3 / 400番台 | DDR4-3200 | 2020年〜 |
※1 Ryzen 4000シリーズは300番台チップセットでは原則非対応です(一部メーカーのみ独自対応)。※2 発売初期のマザーボードはBIOS更新が必要な場合があります。※3 300番台でのRyzen 5000対応は2022年以降のBIOSで解禁されましたが、対応可否はマザーボードメーカーの提供状況によります。
AM4は2017年のRyzen 1000シリーズから、2022年のRyzen 7 5800X3D、さらに2024年以降に追加された5700X3Dまで使える息の長いソケットです。まだまだ新品で購入できるので、予算を抑えたい方は必見です。安価なモデルなら5,000円台から手に入ります。
AM4対応チップセット一覧
| チップセット | グレード | 発売 | 対応CPUの範囲 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|---|
| X370 / B350 / A320 | 300番台 | 2017年 | Ryzen 1000〜3000 (5000はメーカー対応次第) |
AM4初期のチップセット。A320はオーバークロック非対応 |
| X470 / B450 | 400番台 | 2018年 | Ryzen 1000〜5000 (3000以降はBIOS更新) |
対応範囲が最も広く、中古で人気。5700X3Dも載せられる |
| X570 | 500番台 | 2019年 | Ryzen 2000〜5000 (2000G APUは非対応) |
AM4唯一のPCIe 4.0フル対応。ハイエンド向け |
| B550 | 500番台 | 2020年 | Ryzen 3000〜5000 (3000G APUは非対応) |
CPU直結レーンのみPCIe 4.0対応。コスパの定番 |
| A520 | 500番台 | 2020年 | Ryzen 3000〜5000 (3000G APUは非対応) |
エントリー向け。PCIe 3.0まで、オーバークロック非対応 |
中古でAM4構成を組むなら、Ryzen 1000から5000まで幅広く対応できるB450を、新品ならPCIe 4.0が使えるB550・X570が扱いやすい選択肢です。
AM5対応CPU一覧【世代別】
AM5では、これまでに発売されたすべてのチップセット(600番台・800番台)がすべての世代のCPUに対応します。注意すべきはBIOSのバージョンだけです。
| 世代/開発コード | CPU例 | ソケット | 対応チップセット | メモリ | 発売 |
|---|---|---|---|---|---|
| Ryzen 7000 (Zen 4/Raphael) |
Ryzen 9 7950X Ryzen 7 7800X3D Ryzen 5 7600 |
AM5 | 600番台・800番台すべて | DDR5-5200 | 2022年〜 |
| Ryzen 8000G APU (Zen 4/Phoenix) |
Ryzen 7 8700G Ryzen 5 8600G |
AM5 | 600番台(BIOS更新)・800番台 | DDR5-5200 | 2024年 |
| Ryzen 9000 (Zen 5/Granite Ridge) |
Ryzen 9 9950X3D Ryzen 7 9800X3D / 9700X Ryzen 5 9600X |
AM5 | 600番台(BIOS更新)・800番台 | DDR5-5600 | 2024年〜 |
末尾に「G」が付くモデルはグラフィックス機能を強化したAPUです。なお、通常のRyzen 7000・9000シリーズも簡易的な内蔵GPUを備えているため、グラフィックボードなしでも画面出力は可能です。
今後についても、次のAPU Ryzen 9000Gシリーズや次世代アーキテクチャのCPUがAM5向けに投入されると見られており、AMDはAM5を2029年までサポートすると表明しています。いま600番台・800番台のマザーボードを購入しても、将来のCPUに載せ替えられる可能性が高いプラットフォームです。
AM5対応チップセット一覧
| チップセット | グレード | 発売 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| X670E | ハイエンド | 2022年 | グラフィックボード・NVMe SSDともPCIe 5.0対応。拡張性最上位 |
| X670 | ハイエンド | 2022年 | NVMe SSDはPCIe 5.0対応。グラフィックボードは4.0が中心 |
| B650E | ミドル | 2022年 | グラフィックボード・NVMe SSDともPCIe 5.0対応のミドル版 |
| B650 | ミドル | 2022年 | AM5のコスパ定番。PCIe 5.0対応は製品によって異なる |
| A620 | エントリー | 2023年 | PCIe 4.0まで。CPUオーバークロック非対応。安価に組みたい人向け |
| X870E | ハイエンド | 2024年 | X670Eの後継。PCIe 5.0フル対応に加えUSB4を標準搭載 |
| X870 | ハイエンド | 2024年 | PCIe 5.0(NVMe)とUSB4を標準搭載。X670の後継 |
| B850 | ミドル | 2025年 | 800番台のコスパ定番。NVMe SSDはPCIe 5.0対応 |
| B840 | エントリー | 2025年 | PCIe 3.0まで。CPUオーバークロック非対応。最小構成向け |
600番台と800番台で対応CPUに違いはないため、新しいCPUを最初から載せたい・USB4が欲しいなら800番台、価格重視なら600番台という選び方で問題ありません。
BIOS更新が必要なケース
ソケットとチップセットが対応していても、マザーボードのBIOS(UEFI)が古いままだと新しいCPUは起動しません。特に次のケースは要注意です。
AM4でBIOS更新が必要になる代表例
最も多いのがB450・X470マザーボードにRyzen 5000シリーズを載せるケースです。マザーボードの発売がCPUより2年早いため、BIOSが古い個体がよく流通しています。同様に、300番台・400番台にRyzen 3000シリーズを載せる場合や、発売初期のB550にRyzen 5000のX3Dモデルを載せる場合も更新が必要なことがあります。300番台でのRyzen 5000対応はメーカーごとの判断となっているため、必ずメーカーのCPUサポートリストを確認してください。
AM5でBIOS更新が必要になる代表例
600番台マザーボード(B650・X670など)にRyzen 9000シリーズを載せるケースです。2024年8月より前に製造されたマザーボードは、ほぼ確実にBIOS更新が必要です。Ryzen 8000Gや、9800X3D・9950X3Dのような後発モデルでも同様です。
CPUなしでBIOSを更新できるBIOS Flashback
BIOS更新には通常、起動できる旧世代CPUが必要ですが、対応マザーボードならBIOS Flashback機能でCPUを取り付けずにUSBメモリから更新できます。名称はメーカーによって異なり、ASUSはBIOS FlashBack、MSIはFlash BIOSボタン、GIGABYTEはQ-Flash Plus、ASRockはBIOSフラッシュバックと呼ばれます。新しいCPUと古いマザーボードを組み合わせる予定があるなら、この機能の有無を必ずチェックしましょう。
中古でAMD構成を組む際の注意点
中古のマザーボードは、どのバージョンのBIOSが入っているか外見からは分かりません。BIOS Flashback対応モデルを選ぶか、購入店に更新済みか確認するのが安全です。当店の中古パソコン・パーツは動作確認のうえ販売していますので、組み合わせに不安がある場合はお気軽にお問い合わせください。
物理的な破損にも注意が必要です。AM4はCPU側にピンがあるため中古CPUのピン曲がりを、AM5はマザーボード側にピンがあるためソケット内部の状態を、それぞれ購入時に確認してください。中古CPUの選び方は中古CPUの選び方で詳しく解説しています。
コスト面では、AM4はDDR4メモリと中古マザーボードが安く手に入るため、総額を抑えたいゲーミングPCに今も有力な選択肢です。特にRyzen 7 5700X3D・5800X3Dは、B450以降のマザーボードにBIOS更新だけで載せられるAM4最後の切り札として人気があります。一方、これから長く使う前提で新しく組むなら、今後のCPUにも対応できるAM5を選ぶほうが将来の載せ替えの自由度が高くなります。
お使いのマザーボードの型番やチップセットの確認方法はマザーボードとは | 型番の確認方法についても解説をご覧ください。
まとめ
AMDのCPU換装は、ソケット(AM4かAM5か)を確認→チップセットの対応範囲を一覧表で確認→BIOSバージョンを確認の3ステップで判断できます。ソケットの寿命が長いぶん、Intel以上にBIOS更新さえすれば載るパターンが多いのがAMDの特徴です。CPUやマザーボードの買い替え・買い足しの際は、本ページをブックマークしてご活用ください。


