AMD製CPUとIntel製CPUの特徴を比較していきます。結論から言えば2025年時点において新品での購入を考えている方はAMD製CPUを第一候補にすると良いと思います。コストパフォーマンスが高く安定運用が可能だからです。ゲーミングPC市場でも人気がありシェアを伸ばしています。正直これまで王者だったIntelはコストパフォーマンスがいまいちで劣勢です。王者としての驕りがあったのかもしれません。
現行のAMD/Intel製CPUの特徴を比較
| 企業 | AMD | Intel |
|---|---|---|
| ビジネスモデル | ファブレス(委託) | IDM(垂直統合) |
| CPUブランド | Ryzen | Core Ultra |
| シリーズ | Ryzen 9000シリーズ | Core Ultraシリーズ2 |
| 価格帯 | 38,949円~119,600円 | 26,900円~94,960円 |
| 資本金 | $17,000,000(約25.99億円) | $4,330,000(約6.49億円) |
| 売上高 | $25,785,000,000(約3.94兆円) | $53,101,000,000(約8.12兆円) |
| 株価 (2024/01/06→2025/10/20) |
$116.04→$230.23 | $19.15→$36.92 |
| 時価総額 (2025/10/20時点) |
$381,352,038 (約583.01億円) |
$181,535,440 (約277.53億円) |
| Steamシェア | 42.32% | 57.68% |
| ゲーム性能 | ★★★★★ | ★★★★☆ |
| マルチコア性能 | ★★★★★ | ★★★★★ |
| コスパ(ゲーム) | ★★★★★ | ★★★☆☆ |
| コスパ(マルチコア) | ★★★★★ | ★★★★☆ |
| ワットパフォーマンス | ★★★★★ | ★★★★☆ |
| ソケット寿命 | 長い(数世代) | 短い(2世代) |
AMDとIntelの特徴を比較していきます。まず両企業ともビジネスモデルが異なります。AMDは設計に特化して製造部門を分離しています。製造部門は投資額も大きく運営リスクが高いと判断したわけです。製造を請け負うTSMCやSamsungなどのファウンダリ企業に委託しています。一方で、Intelは設計から製造まで一貫して行う垂直統合型のIDMというビジネスモデルです。自社ですべてが完結するため外部による影響を受けづらいメリットがあります。ただし、設備投資がかさむというデメリットがあり今は苦しい状況となっています。製造プロセスの微細化が遅れていることもこのビジネスモデルが原因といえそうです。成功すれば恩恵は大きいですが、リスクが大きいということです。
現行モデルはAMDがRyzen 9000シリーズで、IntelがCore Ultraシリーズ2です。価格帯を見るとAMDの方が少し高くなっています。資本金及び売上高はどちらも驚異的な水準にあります。AMDは株価も好調です。Intelは長らく株価が低迷していましたが、NVIDIAによる出資や黒字化が見えたこともあり上昇傾向にあります。AMDの飛躍はSteamでのシェアの推移もあります。2020年3月時点でのSteamのシェア(TECHPOWERUP, 2020)はIntelが81.25%に対して、AMDはわずか18.75%でした。それが2025年9月になると42.32%(Steam, 2025)まで大幅にシェアを伸ばしています。今後もシェアは拡大していくのではないかと予想しています。
AMD製CPの人気の秘密はゲーム性能の高さとコストパフォーマンスの高さにあります。特に3D V-Cache搭載モデルのリリースは多くのユーザーを魅了したといえます。ゲーム性能に対するコストパフォーマンスだけを考えればIntel製CPUを凌駕します。省電力性にも長けています。また、ソケットの寿命が長いのもユーザーフレンドリーで魅力的なポイントです。Intelのように2世代おきにマザーボードを買い替える必要はありません。
ゲーミングPCでAMD製CPUをおすすめする理由
市場でもAMDの人気が爆発中
Steamでの統計データを見てわかるとおりここ数年はAMD製CPUの人気が爆発中です。コストパフォーマンスの高さから一気にシェアを拡大しています。製造を委託するファブレスというビジネス戦略がうまくはまっています。これだけ人気が出れば売却時も有利になる可能性があります。そうなれば好循環です。BTOメーカーもRyzenシリーズを搭載したモデルに注力しているように思います。売れ筋ランキングでも上位を占めることが増えていますね。
Intelの不祥事もありAMDの信頼性が向上
Intelは第13世代及び第14世代Core iシリーズにおいてVminシフトによる問題が発生して信頼が揺るいでいる状況です。想定外の電圧及び温度上昇がCPUに悪影響を与え、システムのクラッシュやブルースクリーンなどが発生します。パソコンの動作が不能になるなど致命的な問題と言えるでしょう。今はアップデートによって改善されています。次世代のCore Ultraシリーズ2でもその問題は解決されていますが、今でも不安に感じているユーザーは多いように思います。その点、動作が安定しているAMD製CPUに注目が集まっています。
コストパフォーマンスが高い
AMD製CPUはコストパフォーマンスに優れています。特にゲーム用途においては競合であるIntelを圧倒しています。例えば、トップクラスのゲーム性能を持つRyzen 7 9800X3Dの価格は72,600円~です。対してIntel製CPUでもっとも性能の高いCore Ultra 9 285Kの価格は94,960円~と30%以上も高価です。性能的にもRyzen 7 9800X3Dの方が高いです。3D V-Cache搭載モデルの弱点だったクロック周波数の低さもRyzen 9000シリーズでは改善されています。旧世代のRyzen 7 7800X3DやRyzen 7 7700もコストパフォーマンスの高さから人気がありますね。
ワットパフォーマンスが高い
AMD製CPUはワットパフォーマンスにも優れています。特にゲームプレイ時のワットパフォーマンスは競合を大きく引き離しています。製造プロセスの微細化に成功していることが最大の要因です。チップレット設計もうまくいっているように思います。ワットパフォーマンスが高ければ冷却システムやPCケースへの投資を抑えられます。もっともゲーミングPCで消費電力を気にするユーザーは少ないと思います。
ソケット対応が数世代続きアップグレードがしやすい
AMD製CPUの魅力はマザーボードの流用がしやすい点にあります。Ryzen 5000シリーズより前ではソケットAM4が、Ryzen 7000シリーズ以降でソケットAM5が採用されています。つまり、種類だけです。今AM5を選択すればもうしばらくは現役で通用します。一度購入すればCPUのアップグレードが容易に行えます。一方で、Intel製CPUはおよそ2世代ごとに変わりますので、CPUのアップグレードに合わせて頻繁にプラットフォームのアップグレードが必要になります。マザーボードの交換となるとCPU換装のハードルが上がってしまいます。
関連記事:Intel製CPUのソケットと対応チップセット一覧表【世代ごとに解説】おすすめの中古ゲーミングPC一覧
中古ゲーミングPCならIntel製CPUがおすすめです。ゲームの安定感が高く、市場流通量が多いからです。当ショップでの取り扱いも多いです。コストパフォーマンスも良好です。AMD製CPUの性能が大きく向上したのはRyzen 5000シリーズ以降です。それより前のモデルならIntel製CPUに優位性があります。ただし、あくまでも現時点での話でRyzen 5000シリーズの流通量が増えてくれば当ショップも積極的に仕入れていく予定です。
参照外部サイト
- Steam Hardware Survey March 2020: Intel CPUs, NVIDIA Graphics Cards Rising(TECHPOWERUP, 2020)
- Steamハードウェア&ソフトウェア 調査: September 2025(Steam, 2025)



