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GeForce GT 1030のレビュー

Pascal世代のエントリーモデルであるGeForce GT 1030の性能レビューを行いました。2017年5月17日に発売されたグラフィックボードです。安価な中古ゲーミングPCで採用されることが多いです。VRAMがGDDR5版とGDDR4版の2種類がありますが、ここではより性能の高いGDDR5版を中心に見ていきます。

GeForce GT 1030の写真

小さくてシンプルなグラフィックボードです。玄人志向の「GF-GT1030-E2GB/LP/D5」です。上位のグラフィックボードと比べると質素な作りになっています。9,500円~で購入できるモデルなので不思議はありません。

バックプレートはなく基盤が剥き出しの状態です。低価格帯のモデルでは一般的だといえます。

モニター出力はHDMI 2.0とSingle Link DVI-Dの2つです。

1スロット占有で薄いです。補助電源はありません。

Blackwell世代のGeForce RTX 5050と比較するとかなり小さいことがわかります。

GeForce GT 1030スペック

GeForce GT 730と比較

GT 1030 GT 730 GT 730
アーキテクチャ Pascal Kepler 2.0 Fermi
GPU GP108 GK208 GF208
プロセス 14nm Samsung 28nm TSMC 40nm TSMC
トランジスタ数 18.0億 10.2億 5.85億
ダイサイズ 74m㎡ 87m㎡ 116m㎡
ストリーミングプロセッサー 3 2 2
シェーディングユニット 384 384 96
ベースクロック 1228MHz 902MHz 902MHz
ブーストクロック 1468MHz - -
GPUメモリ 2GB GDDR5 1GB/2GB GDDR5 1GB/2GB GDDR3
メモリ速度 6 Gbps 5 Gbps 1.6 Gbps
メモリバス 64bit 64bit 128bit
メモリ帯域幅 48.06 GB/s 40.10 GB/s 25.60 GB/s
L2キャッシュ 512KB 512KB 256KB
出力 1x DVI
1x HDMI 2.0
1x DVI
1x HDMI
1.4a 1x VGA
1x DVI
1x HDMI 1.3a
1x VGA
バスインターフェース PCIe 3.0×4 PCIe 2.0×8 PCIe 2.0×16
TDP 30W 38W 49W
補助電源 不要 不要 不要
MSRP $79 $79 $79
国内価格 9,080円 7,480円 -
発売日 2017年5月17日 2014年6月18日 2014年6月18日

GeForce GT 1030はPascal世代のグラフィックボードとなります。GeForce GT 730が発売されておよそ3年ぶりの新作です。1世代前のMaxwell世代ではグレード30のモデルは発売されず2世代振りの登場です。1世代飛ばしたこともあり大幅にスペックが引き上げられています。GeForce GT 730にはアーキテクチャの異なる派生モデルがありますが、現在の主流であるKepler 2.0世代のGeForce GT 730との比較を中心に見ていきましょう。Kepler 2.0→Pascalになって製造プロセスが28nmから14nmへと大幅に微細化が進みました。製造企業もTSMCからSamsungへと変更となっています。

トランジスタ数は78%増えて18.0億です。それにもかかわらずダイサイズは15%弱小さく74m㎡となっています。ストリーミングプロセッサーは1つ増えて3つです。シェーディングユニットは384と共通です。ベースクロックは36%高く1228MHzです。ブーストクロックも1468MHzに到達しています。GeForce GT 730にはVRAM 1GB版もありますが、GeForce GT 1030は2GBのみです。メモリ速度は6 Gbpsと少し速くなっています。メモリバスは64 bitと共通です。

メモリ帯域幅20%速く48.06 GB/sとなります。L2キャッシュは512KBと同等です。モニター出力はVGAがなくなりDVIとHDMIのみです。TDPは20%減の30Wです。補助電源は相変わらず不要です。MSRPは$79と変わっていません。国内販売価格は1,600円の差があります。

Fermi世代のGeForce GT 730はスペックが大きく劣ります。製造プロセスは40nmとKepler 2.0世代よりもさらに大きいです。トランジスタ数は5.85億、ダイサイズは116m㎡とアーキテクチャの古さを感じます。シェーディングは96基しかありません。GPUメモリもGDDR3と規格が古いです。メモリ帯域幅は25.60 GB/sと45%減となります。L2キャッシュも半減で256KBに留まります。インターフェースはPCIe 2.0×16です。TDPも49Wと高いですね。型番が同じなのはややこしいです。

Radeon RX 550と比較

GT 1030 RX 550
アーキテクチャ Pascal GCN 4.0
GPU GP108 Lexa
プロセス 14nm Samsung 14nm GlobalFoundries
トランジスタ数 18.0億 22.0億
ダイサイズ 74m㎡ 103m㎡
ストリーミングプロセッサー 3 8
シェーディングユニット 384 512
ベースクロック 1228MHz 1100MHz
ブーストクロック 1468MHz 1183MHz
GPUメモリ 2GB GDDR5 2GB GDDR5
メモリ速度 6 Gbps 7 Gbps
メモリバス 64bit 128bit
メモリ帯域幅 48.06 GB/s 112.0 GB/s
L2キャッシュ 512KB 512KB
出力 1x DVI
1x HDMI 2.0
1x DVI
1x HDMI2.0b
1xDisplayPort 1.4a
バスインターフェース PCIe 3.0×4 PCIe 3.0×8
TDP 30W 50W
補助電源 不要 不要
MSRP $79 $79
国内価格 9,080円 11,800円
発売日 2017年5月17日 2017年4月20日

AMDからの同性能帯のRadeon RX 550が販売されています。アーキテクチャはGCN 4.0です。GPUはLexaを搭載しています。製造プロセスは14nmです。トランジスタ数は22億とGeForce GT 1030よりも22%多くなっています。ダイサイズも一回り大きく103m㎡です。ストリーミングプロセッサー数は8でシェーディングユニットは512です。アーキテクチャが異なるため単純に数値の比較は意味をなさずあくまでも参考程度にとどめましょう。メーカーごとのこだわりが感じられる部分です。

ベースクロックは1100MHz、ブーストクロックは1183MHzとGeForce GT 1030と比べてもやや控えめです。Radeon RX 550も2GBのGDDR5メモリを搭載しています。メモリ速度は7 GBpsでメモリバスは128bitとワンランク上です。メモリ帯域幅は112.0 GB/sとGeForce GT 1030よりも2.3倍の速度を持っています。L2キャッシュは512KBと同じです。

Radeon RX 550のモニター出力はDVIとHDMIに加えてDisplayPortもサポートしています。ベンダーごとに異なりますので購入前に確認してください。バスインターフェースはPCIe 3.0×8となります。TDPは50Wとやや高めです。補助電源は不要です。MSRPは$79と共通ですが、国内販売価格は2,720円の差がありRadeon RX 550の方が価格が高くなっています。

GeForce GT 1030に関する考察

ゲーム適性は低い

GeForce GT 1030は性能が低くゲーム性能はそれほど高くありません。GDDR4版はさらに低くGDDR5版よりも45%劣ります。GDDR4版はメモリ帯域幅が狭くここがボトルネックとなります。また、クロック周波数も大幅に引き下げられていてパフォーマンスが伸びづらいです。 GeForce GT 1030 GDDR5版は、従来モデルのGeForce GT 730と比べると3.5倍のスコアです。グラフィックボード全体で見れば性能は低いですが、前モデルからの進化は見られます。競合のRadeon RX 550になると10%程度性能が高くなっています。

フォートナイト Apex Legends

パフォーマンスモードで60fps実現可

720pで40fps程度
マイクラ FF14

768p(描写優先)で60fps


720p(標準品質)で50fps

モンハンワイルズ Cyberpunk2077

プレイ不可

プレイ不可

主要タイトルの適性をまとめています。フォートナイトを除けば解像度を落とさないとまともにゲームができないと考えておきましょう。重量級タイトルであるモンハンワイルズとCyberpunk 2077に関してはプレイ不可です。20fpsにも届かないです。

クリエイティブ作業にも不向き

クリエイティブ性能も低いです。スペックからすれば当然でしょう。BlenderでのGPUレンダリング性能は最下位です。71.98とかなり低いです。GeForce GT 750にも届きません。動画のエンコードに関してもNVENCに対応しておらずハードウェアエンコード不可となります。クリエイティブ作業にも使いたいなら避けた方が良いです。GeForce GTシリーズとGeForce GTXシリーズには大きな壁があります。GeForce GT 1030は、マルチモニター環境の構築や軽いゲームをプレイする方向けです。

補助電源が不要で使い勝手がよい

GeForce GT 1030は消費電力が低く扱いやすいグラフィックボードです。上記はFF14のベンチマーク計測時の消費電力をまとめたものです。平均消費電力は23.6Wと無視できる範囲でしょう。補助電源が不要なのも納得です。この消費電力ならビジネスPCにそのまま追加できそうです。つまり、電源ユニットの交換を考えなくてもよいケースが大半だということです。気軽にゲーム環境を構築したいなら魅力的ではないかと思います。

中古ゲーミングPCで人気があるが...

GeForce GT 1030搭載モデルは中古ゲーミングPCで人気があります。低価格帯のモデルを探しているとこのGeForce GT 1030搭載モデルが見つかるはずです。基本的にはゲーム目的での購入はおすすめできません。確かに本体価格は安く済みますが、ゲーム性能も相応に低く家kっしてコストパフォーマンスが高いわけではないからです。当ショップでもGeForce GTX 1060 6GB/3GB搭載モデルを最低基準として積極的に取り扱っています。実は単体のグラフィックボードとしてみればGeForce GTX 1060 6GB/3GBとGeForce GT 1030の価格差は1,000円~2,000円程度です。

それなのにどうして中古ゲーミングPCショップでGeForce GT 1030搭載モデルが多いかというと、補助電源が不要でビジネスモデルにも追加しやすいからではないかと思います。電源を交換せず安価に抑えられます。ビジネスモデルは仕入れ値も安く利益を確保しやすいです。トータルコストを抑えやすいのです。GeForce GTX 1060 6GB/3GBを搭載するとなるとそれなりの電源が必要でコストがかかります。だからこそ性能が低いにもかかわらずGeForce GT 1030搭載モデルが販売されるわけでです。

GeForce GT 1030のベンチマーク一覧

CPUはCore i5-8400、メモリ16GBの環境でベンチマークを測定しました。

マイクラ

1280×720で処理優先なら104fpsが出ます。1% Lowも53fpsと悪くありません。フルHD環境だと60fpsの維持が難しくカクつきが気になります。解像度を落としても影Modの導入は難しいです。

FF14

1280×720でなんとか快適にゲームをプレイできます。平均フレームレートは57.9fps、最小フレームレートは38.0fpsです。60.0fpsには届いておらずカクつきを感じることはあります。

FF15

より負荷の高いFF15になると厳しいです。スコアは3,835で普通です。1280×720まで落としてこのスコアなのでやはりGeForce GT 1030はゲーム向けとは言えないですね。

Cyberpunk 2077

Cyberpunk 2077も深尾高いタイトルでAMD FSRを有効化しても平均フレームレート24.87fps、最低フレームレートは17.18fpsと落ち込んでいます。

Apex Legends

Apex legendsは射撃場で一定時間動かした際のフレームレートを計測しました。720pで平均フレームレートは42.3fps、1080pで39.8fpsとなりました。プレイできなくはありませんがやはりカクつきが目立ちます。

フォートナイト

フォートナイトはパフォーマンスモードならフルHDでも快適にゲームがプレイ可能です。平均フレームレートは76.7fps、最小フレームレートは18.7fpsとなります。飛び降りる際に大きくフレームレートが落ち込みますがある程度楽しめるといえるでしょう。フォートナイトを気軽にプレイしたいと考えているなら候補に入れても良いと思います。

Forza Horizon 5

Forza Horizon 5では34fpsとなりました。解像度・設定を落としても伸び悩みます。

Fire Strike

Fire Strikeのグラフィックスのスコアは3,598です。GeForce GT 730よりも70%以上スコアが伸びていますが、GeForce GTX 750よりも14%程度スコアが低いです。

Time Spy

Time Spyのグラフィックスのスコアは1,082です。GeForce GT 730よりも2.4倍となりました。それでもGeForce GTX 750よりも18%程度低いです。

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