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アップスケーリング技術で高フレームレートを実現【DLSS/FSR/XeSS etc.】

各社がこぞって力を注ぐアップスケーリング技術(超解像技術)について解説していきます。上記画像はIntelの公式サイト(外部リンク)から引用したものです。画像からアップスケーリング技術であるXeSSの有効化で50%近くもフレームレートが引き上げられているということがわかります。アップスケーリング技術とは本来の解像度よりも低い解像度でレンダリングを行い、それを引き伸ばして本来の解像度に戻して出力することです。言い換えれば粗い画像をレンダリングすることで負荷を落として、機械学習によって高解像度を実現します。

NVIDIAのDLSS(Deep Learning Super Sampling)・AMDのFSR(FidelityFX Super Resolution)・IntelのXeSS(Xe Super Sampling)が主要アップスケーリング技術となります。FSRやXeSSについてはGeForce GTX 10シリーズ/Radeon400シリーズ以降のモデルでも使用でき、ロースペックモデルの救世主となりそうです。型落ちのゲーミングPCでもある程度のフレームレートが期待できます。中古ゲーミングPCを購入する上でGeForce GTX 10シリーズ以上、Radeon400シリーズ以降のモデルを最低基準に考えると良いと思います。

各アップスケーリング技術を比較

名称 DLSS FSR XeSS
メーカー NVIDIA AMD Intel
画質
対応タイトル
対応GPU GeForce RTXシリーズ Radeon 400シリーズ以降 GeForce GTX 10シリーズ以降 Intel Xe以降 GeForce GTX 10シリーズ以降 Radeon RX 6000シリーズ以降

各アップスケーリング技術の特徴(名称・メーカー・画質・対応タイトル・対応GPU )をわかりやすく比較しました。AMD FSRとIntel XeSSは幅広いGPUに対応しているので汎用性が高いです。他社メーカーのグラフィックボードや古いグラフィックボードでも利用できるのは大きなメリットです。画質ではNVIDIA DLSSに優位性があると言えます。DLSSではフレーム生成やレイ再構築など新しい技術が続々と投入されています。最新のBlackwell世代ではマルチフレーム生成(DLSS 4.0)に対応して驚くほど高いフレームレートを実現できます。Tensorコアを搭載したGeForce RTXシリーズのみDLSSを利用できます。

各アップスケーリング技術を解説

DLSS(Deep Learning Super Sampling)

DLSSは画質の良さで評価されています。いち早くDLSSを投入したこともあって対応タイトルも豊富です。DLSSの処理に専用コアであるTensorコアが必要になることから対応GPUはGeForce RTXシリーズのみです。AMD RadeonシリーズやIntel Arcシリーズでは利用できません。深層学習(ディープラーニング)を利用した技術となります。

事前に膨大な数のゲーム映像をAIに学習させて、そのデータを元にゲーム画像をリアルタイムで出力します。低い解像度で生成したゲーム映像から高解像度なゲーム映像を出力できるのです。なお、より高いフレームレートを実現できるフレーム生成は最新のGeForce RTX 40シリーズのみ対応となっています。タイトルによっては2倍近いフレームレートを出せます。Blackwell世代のGeForce RTX 50シリーズではマルチフレーム生成に対応してより高いフレームレートが実現できます。レンダリングしたフレーム1枚当たり最大で3つのフレームれを追加で生成します。

また、ディープラーニングモデルがCNN(畳み込みニューラルネットワーク)からTransformerモデルへと変更されました。メリットはデータセットでのトレーニングが不要でかつ並列処理に適していることです。冒頭で説明した「事前に膨大な数のゲーム映像をAIに学習させて」が不要だということです。より高速に処理を行える仕組みです。このTransformerモデルはBlackwell世代だけではなくGeForce RTX 20シリーズ以降のモデルであれば利用可能です。

FSR(FidelityFX Super Resolution)

FSRはAMDが提供するアップスケーリング技術です。実装難易度はDLSSよりも低く今後対応タイトル数が大幅に増える可能性を秘めています。画質はやや劣ります。FSRではシェーダプロセッサーを活用してアップスケーリングを行います。結果的にレンダリングに活用されるシェーダプロセッサー数は少なくなります。NVIDIA GeForceやIntel Arcでも利用できるのが魅力です。Radeon RX 9000シリーズの売れ行きが好調なこともありゲーム側での導入が進みそうです。モンハンワイルズとの相性はよさそうです。

XeSS(Xe Super Sampling)

Intel製グラフィックボード(Alchemist)で活用できるアップスケーリング技術です。DLSSのようにAIによる機械学習を通じてXMXアクセラレータで実現します。DP4aをサポートしていれば、Intel Alchemist以外のグラフィックボード(DP4a)でも活用できます。それがGeForce GTX 10シリーズあるいはRadeon RX 6000シリーズ以降のモデルということになります。DLSSの画質の高さとFSRの汎用性の高さを両立していると言えます。

アップスケーリング技術の効果を検証

upscalinghikaku

実際にアップスケーリング技術有効時のパフォーマンスを見ていきましょう。Cyberpunk 2077のベンチマークツールを利用しました。2016年7月発売のGeForce GTX 1060 6GB搭載モデルの平均fpsは44.5fps、最小fpsは33.9fpsです。アップスケーリング技術であるFSRあるいはXeSSを有効化すると70%以上もフレームレートが向上していることがわかります。平均fpsが76fpsで、最小fpsも60fps弱と十分快適にゲームがプレイできる水準にあります。FSRでもXeSSでもフレームレートは大きく変わりません。

負荷の高いタイトルでもFSRあるいはXeSSをサポートしていれば遊べる可能性は残ります。型落ちのゲーミングPCにも希望はあります。現行のGeForce RTX 4060搭載モデルの通常時の平均fpsは139.4fps、最小fpsは115.9fpsです。これがFSRあるいはXeSSを有効化すると6%程度フレームレートが向上します。DLSS 2.0も同等です。DLSS 3.0(フレーム生成)の有効化では75%以上もフレームレートが高くなります。平均fpsは245.5fps、最小fpsは215.3fpsと圧倒的です。

アップスケーリング技術の未来-DirectSR

米Microsoftが、超解像技術を単一コードで実装可能にさせるAPI「DirectSR」を発表しました。このDirectSRを使えば単一コードでDLSS・FSR・XeSSといった複数のアップスケーリング技術を有効化できるということです。実装ハードルが下がることで開発者にとっても大きなメリットとなります。近い将来は今以上にアップスケーリング技術の対応タイトルが増えそうです。

現在DLSS・FSR・XeSSと複数のアップスケーリング技術が存在していますが、ゲーム側がそれぞれの技術に対して対応させる必要があります。DLSSには対応しているけどFSRとXeSSには対応していないとかDLSSとFSRには対応しているけどXeSSには対応していないということが起こっています。ユーザーからしてもどの技術が対応しているのか分かりづらいです。AIは注目度も高く進化が著しい分野なので情報のキャッチアップが必要になります。

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