3D酔いは、ゲームをプレイしていて吐き気など乗り物酔いと同じような症状が現れることです。ゲームをしていて気持ち悪くなった経験があるゲーマーは多いのではないかと思います。ゲームをしたくても体調的にゲームができないというのはもどかしいです。吐き気以外にもめまい・頭痛・冷や汗・嘔吐などの症状が出ることもあります。なぜ3D酔いは起きるのでしょうか。3D酔い(あるいはゲーム酔い)に関する学術論文を参考に原因や対策について考察していきます。
3D酔いとは
3D酔いとは、3Dゲームをプレイしていて気持ち悪くなってしまうことです。ゲーム酔いと言われることもあります。学術的には動揺病と呼ばれます[1]。私もBorderlands 3・龍が如く(不審者スナップなど)・Portal・マイクラ・ペルソナ5・パルワールドなどの3Dゲームをプレイすると酔ってしまいます。専用ゴーグルを使ったVRゲームも酔いやすいです。一方で、横スクロールアクション(2D)であるマリオやカービィをプレイしても酔うことはありません。Nintendo 64が登場したあたりから3D酔いという言葉が一般に知られるようになりました。3D酔いに関する研究自体は1990年頃から行われているようです。当ページの末尾に出典をまとめていますので参考にしてみてください。
3D酔いの原因
3D酔いの原因についてはまだはっきりと分かっているわけではありません。いくつかの仮説があり、その中でも古くからあるのが「感覚混乱説」[2][3]です。ヒトは、前庭器官(耳の中にある)などの器官から感覚情報を得て、これまで蓄積された感覚情報と照らし合わせて身体のバランスを取っています。
3Dゲームなどの新しい感覚情報に対しては、中枢神経内に蓄積されている感覚情報と一致せずその矛盾が3D酔いを引き起こしていると考えられています。簡単に言えばゲーム画面の動きと身体の動きが一致せず脳が混乱してしまうのです。身体は動いていないのにゲーム画面はどんどん移り変わり矛盾が生じます。
3D酔いの予防と対策
マウスの感度を下げる
筆者の経験ではマウスの感度を下げるのが有効でした。マウス操作時の背景の動きが緩やかになるのが良いのかもしれません。酔う頻度が減り楽にゲームを楽しめるようになりました。ただし、FPSなど対人ゲームでは感度を下げることで瞬発性が落ちて不利になる可能性があります。ジャンルや考え方次第といえますね。マウスの感度を下げることに言及した論文はありませんでした。
モニターから離れる
モニターとの距離を空けると3D酔いが緩和される可能性があります。50cmと100cmでは後者の方が映像の不快感が減少することがわかっています[1]。できる限りモニターサイズを小さくするのもよいかもしれません。デスク環境を変えてしまうのも有効な手段といえます。
酔い止め薬を飲む
3D酔いは乗り物酔い(動揺病)の一つ[4]で酔い止め薬が有効である可能性があります。ゲームをする30分前に酔い止め薬を飲んでおくのも予防となります。配信前に酔い止めを飲んでいると言及していたYoutuberさんもいました。
体調管理を行う
万全の体調でないと3D酔いしやすくなる可能性があります[4]。十分な睡眠を取り、体調が悪いのであれば無理にゲームをプレイしない方が良いでしょう。3D酔いと合わさってさらに体調が悪くなる可能性があります。
定期的にゲームをプレイする
感覚混乱説が原因だとすれば3Dゲームに慣れることで感覚情報が蓄積されて酔いづらくなる可能性があります。短時間でもいいのでゲームをプレイする頻度を増やしていきましょう。大人になると乗り物酔いしにくくなるのは感覚情報が蓄積されるからなのかもしれません。
出典
1. 大田・河合・海老根・山口(2004)「TVゲー厶によって引き起こされる3D酔いの評価」『The Virtual Reality Society of Japan』第9巻第4号、343-352ページ
2. 武田(1991)「動揺病と嘔吐のメカニズム」『耳鼻臨床』、補41、197-207ページ
3. Laviola Jr.,(2000), "A Discussion of Cybersickness in Virtual Environment", SIGCHI Bulletin, Vol. 32, No. 1
4. エスエス製薬(2024)「ゲーム酔い/3D酔い|症状・疾患を知ろう」https://www.ssp.co.jp/condition/game_3d_sickness/, (参照2024-07-20)