HDDは、OS・ファイル・ゲームなどのデータを保存する記憶装置となります。正式名称はHard Disk Drive(ハードディスクドライブ)です。複数枚のプラッターと呼ばれる磁気ディスクにデータを保存する仕組みです。
HDDは、HDDレコーダーやPS4などパソコン以外にも採用されるストレージです。ただし、より高速なSSDの台頭であまり採用されなくなっています。それでも価格が安く気軽に容量を増やせるのでパソコンでHDDを活用しているユーザーも多いです。
HDDの構成パーツ
HDDは複数のパーツによって構成されています。SSDと比べると駆動部分が多いので故障リスクが高くなります。持ち運び時に落とさないように注意しましょう。
①アクチュエータ
スイングアームの根元部分のことで、磁気ヘッドをプラッターの任意の位置に移動させる役割を持っています。アクチュエーターの付け根部分には、ボイスコイルモータが取り付けられています。磁界を作り無接点で機械的な直進運動が実現します。
②スイングアーム
磁気ヘッドを支えるアームのことです。アクチュエーターを介して動きます。
③磁気ヘッド
電気と磁力を活用してプラッタ上のデータを読み書きを行います。複数枚のプラッタがある場合は磁気ヘッドも複数個設けられます。
④プラッタ
データを記録する円盤部分のことです。ライナー(被膜層)がプラッタ上の磁性体に作られていて、磁気ヘッドがプラッタが直接触れないようになっています。CDのような見た目です。複数のプラッタを搭載しているのが一般的です。
⑤スピンドルモーター
プラッタを回転させるためのモーターです。ハードディスクのスペックで表される回転数はこのスピンドルモーターの回転数です。5400rpm、5640rpm、7200rpmなどが一般的です。基本的には回転数が速い方がより速くデータの読み書きが行えますが、キャッシュなどその他にも速度に影響を与える要素はありますので回転数だけを見て判断するのは危険です。
HDDの種類
内蔵型
PC本体に内蔵するタイプです。パソコンを購入すると搭載されているのはこの内蔵型となります。3.5インチと2.5インチがあります。PCケースなどに合わせて選択できます。主流は3.5インチで豊富なラインナップがあります。
据え置きタイプ
据え置きタイプもあります。USBでパソコンに接続することでHDDとして利用できます。自宅で複数の端末で共有したい場合に便利です。レコーダー用にも使用できますね。
ポータブルタイプ
持ち運びを想定したタイプです。本体がコンパクトで気軽に持ち運びができます。これまで持ち運ぶとなるとフロッピーディスクが必要でしたが、より便利なHDDが一般的になりました。といってももう何十年も前ですが。
HDDの強みと弱み
コストが低い(+)
HDDの最大の強みはコストの低さです。SSDと比べても安く搭載可能です。例えば、SSD 2TBのコストは15,000円~ですが、HDDなら同じ費用で6TB~8TBを実現できます。1/3程度の費用に抑えられるということです。SSDで大容量を実現するとなるとそれなりの費用が掛かります。SSDはOS用、HDDはその他メディア用と分けると節約になります。
大容量ストレージが実現しやすい(+)
HDDはコストが低いので大容量ストレージを実現しやすいです。4TB・6TB・8TB・16TB・18TB・22TB・24TBなどSSDではないような容量が用意されています。たくさんのゲームや動画を保存したいという方は必須です。
速度が遅い(-)
デメリットは速度が遅いことです。SSDと比べると体感できるほどの差があります。OSなど重要なアプリケーションをSSDに保存して、そこまで速度が重要ではないファイルをHDDに保存すると良いでしょう。動画や画像などはHDDに保存しても大きなデメリットはありません。
駆動音が大きめ(-)
駆動音がやや目立ちます。HDDは駆動パーツが多くどうしても音を発してしまいます。PC起動中の「ブーン」という音はHDDから発せられています。静音性に長けたPCケースを活用すれば軽減できます。
物理的に故障しやすい(-)
これも駆動パーツが多いことによるデメリットです。落下など物理的な衝撃に弱いです。よくあるのが磁気ヘッドの不具合です。本来磁気ヘッドとプラッタの間には隙間がありますが、衝撃などによって磁気ヘッドが直接プラッタに接触すると読み書きができなくなります。ヘッドクラッシュと呼ばれる現象です。
HDDの販売メーカーを紹介
WESTERN DIGITAL
アメリカカリフォルニア州に本社を置くストレージ製造企業です。HDDはカラーでターゲットを変えています。WD Blueが一般消費者向け、WD_Backがゲームなどパフォーマンス重視の方向け、WD RedがNAS/RAID向け、WE Purpleが監視セキュリティシステム向け、WD Goldはデータセンター向けといった具合です。Blueが売れ筋モデルとなっています。6TBや8TBの大容量ストレージが人気です。
SEAGATE
こちらもアメリカカリフォルニア州に本社を置くストレージ製造企業です。WESTERN DIGITALに次いで国内で人気があります。FireCuda(ゲーム家)、Exos(エンタープライズ向け)、BarraCuda(一般向け)、IronWolf(NAS用)、SkyHawk AI(監視システム用)などブランドが分けられています。
東芝
東芝もHDDの販売を行っています。国産メーカーとして高い信頼性があります。価格設定はやや高めです。コストパフォーマンス重視で考えている方向けではありません。2024年には30TB超えの大容量HDDの実証に成功しています。今後製品化される可能性があります。