パソコンパーツの電源ユニットについて解説していきます。比較的役割などがイメージしやすいパーツではないかと思います。電源ユニットとは、グラフィックボードやマザーボードなどのパーツに電源を供給するハードウェアです。
電源ユニットの基礎知識
電源ユニットの役割
電源ユニットの主な役割は家庭用コンセントの交流電源(AC)を、パソコンパーツが利用できる直流電源(DC)に変換することです。具体的には家庭用コンセントから供給される100Vの電圧を、CPU・グラフィックボード・マザーボードそれぞれのパーツ向けに+12V、+5V、+3.3Vに変換します。電源ユニットに記載があると思います。
電源ユニットにはいくつかの保護機能が搭載されています。過電圧保護回路(OVP)・低電圧保護回路(UVP)・過温度保護回路(OTP)・ショート防止回路(SCP)・過負荷保護回路(OPP)などが挙げられます。雷などで異常が起きても被害が出ないように自動的にシャットダウンするなど保護機能が働きます。
ケーブル端子の種類
- ATXメイン電源コネクタ(24ピン)
- ATX12V電源コネクタ(4/8ピン)
- PCI-Express電源コネクタ(6/8ピン)
- SATA(Serial ATA)電源コネクタ
- ペリフェラル電源コネクタ(4ピン)
電源ユニットには複数のケーブルが付属しています。マザーボードのメイン端子、CPU用の補助電源端子などがあります。
電源ユニットの寿命
電源ユニットの寿命は2年から3年と言われています。使用頻度にもよりますが私の経験上5年は持ちます。7,8年は目指せるのではないかと思います。長持ちさせる方法としてはより高規格・高容量の電源を選ぶのが良いでしょう。電源をつけっぱなしにしないのも効果的です。また、日本製コンデンサーを採用したモデルは耐久面で有利です。特に105℃対応モデルが良いでしょう。
電源ユニットの選び方
容量
電源ユニットの容量は重要なポイントです。400W・500W・650W・750W・800W・1000W・1200Wなどモデルごとに電源容量が異なります。グラフィックボードを搭載するなら650W以上が好ましいです。
簡単な計算方法としてはCPUとグラフィックボードの消費電力+300W~400Wです。例えば、Core i7-14700KとGeForce RTX 4080 SUPERの組み合わせなら(253W+320W)+400W=973Wです。CPUとグラフィックボード以外にも電力は消費するので+αで考えると良いですね。今回の場合は、1000Wが最適です。
80PLUS認証
容量を決めたら80PLUS認証についても考えましょう。電源容量と同様にほとんどの電源ユニットのスペックで紹介されています。負荷が10%・20%・50%・100%の時の変換効率が定められています。STANDARD、BRONZE、SILVER、GOLD、PLATINUM、TITANIUMと右にいくにつれて電源効率が上がります。電源容量が多いと規格も上位グレードになることが一般的です。コストパフォーマンスを考えるならGOLDがおすすめです。
サイズ
電源ユニットにもサイズ規格が設定されています。ATX規格あるいはSFX規格です。ATX規格は幅150mm×高さ86mm×奥行き140mm~180mmと規定されています。SFX規格は幅125mm×奥行き100mm×高さ63mmですが、モデルによってサイズが異なります。一般的なミドルタワーやフルタワーではATX規格が採用されます。SFX規格はスリムタワーやキューブ型向けです。ご自身でパソコンを組み立てる場合はPCケースに収まるかどうか確認しておくと良いですね。
接続形式
接続形式はモジュラー式と着脱式の2種類があります。モジュラー式は電源ユニット本体に各種ケーブル端子が組み込まれているタイプです。不要なケーブル端子もPCケース内に収める必要があるためかさばります。使い勝手はやや劣ります。
モジュラー式は、電源ユニット本体と各種ケーブル端子が別々になっています。必要なものだけを接続することができるので、パソコン内部のケーブルの取り回しが行いやすいというメリットがあります。最近はほとんどがモジュラー式になっているように思います。
電源ユニットの交換方法
現状を確認する
電源ユニットを交換する前に現状を確認しましょう。必要な電源容量がどのぐらいかどうか、どのぐらいのサイズが合っているかどうか、どのようなコネクタが必要かどうかを確認します。最近はグラフィックボードの補助電源も種類が増えてきたので特に注意してください。
PC本体の外側に接続されているケーブルを抜く
現状を把握できればPC本体の外側(背面)に接続されているケーブルを抜きましょう。電源ケーブル、モニターケーブル、各種周辺機器用のケーブルなどです。
- パソコンケースを開ける
- マザーボードからケーブルを抜く
- 電源ユニット本体からケーブルを抜く
- 電源ユニットを取り外す
- 新しい電源ユニットを取り付ける
- 動作確認を行う
ケーブルを外したらパソコンケースを開けます。左側のサイド部分を取り外すと良いですね。ドライバーで簡単に取り外すことができます。
ケースを開けたらマザーボードに取り付けられている各種ケーブルを取り外します。マザーボード側の端子を折らないように慎重に行いましょう。
電源ユニット本体からケーブルを取り外しておきましょう。
ケーブルを抜いたらパソコン本体から電源ユニットを取り外します。プラスドライバーで4箇所のネジ止めを外しましょう。
新しい電源ユニットを取り付けて各種テーブルを挿します。
取り付けが終わったら動作確認をしましょう。電源ユニットの電源が入っているか確認しておくと良いですね。
電源ユニットに関するよくある質問
電源の容量不足になるとどうなるの?
電源ユニットの容量が足りないと電源が入らなかったり、動作が不安定でフリーズ・再起動が行われたりといった症状が現れます。すぐに電源が落ちてしまう場合も電源容量不足を疑いましょう。対策としては増設やアップグレードしたパーツを取り外すか電源ユニットの交換が挙げられます。特に消費電力の高いグラフィックボードにアップグレードすると不安定になることがあります。
ファンの掃除のために分解しても大丈夫?
電源ユニットにはファンが取り付けられていて埃が溜まりやすいです。ただし、電源ユニットの分解は厳禁です。動作不良の原因となります。もし分解して故障しても保証の対象外となる可能性が高いです。不安な方はショップに相談してみてください。